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コラム&取材   トップページ >> コラム&取材 >> 現場取材 >> 豪快と繊細の狭間から生まれる漆喰 -漆喰工場見学-  
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 豪快と繊細の狭間から生まれる漆喰 -漆喰工場見学- 

 1.製法・・・釜焼き これは巨大な火鉢か?


山から運び出された石灰岩は、焼成工場へと運ばれる。
最近の工場は、どこもハイテク化が進み、人間も少なく、静かで
清潔だったりするが、この段階では、まだまだ豪快・轟音の嵐。
焼成工場の第一印象は、『もののけ姫』の『たたら場』だ。






焼成工場内部

雨に打たれ、年月を経て変色したコンクリート壁、
剥き出しの錆びた鉄骨、ワイヤー、破れたトタン屋根。
手作業、粉塵、煙、熱気。
向こうに見える、緑の山々、ダム。真っ青な秋の空。

ここから、あるものはセメントになり、肥料になり、左官材料になり、
そしてあるものは『n』になるのだ。
 
マクロの世界からミクロの世界へ。
きれいに化粧されたような“製品”になる前の、
“未完成の迫力”のような空気が満ちている。



塩釜で赤く燃えるコークス
人の頭くらいの大きさになって運ばれてきた石灰岩は、
拳大の大きさに粉砕され、ベルトコンベヤーに乗せられ、
ガタガタガタと釜まで運ばれる。
釜は二基。この時、どちらにもカンカンに火が入っていた。
近づくと熱気を直に感じるが、その熱さは尖った感じのものでは なく、
火鉢から発せられる“やわらかい熱気”のような気がした。


手前に見えるのが原塩の大袋
質のいい漆喰をつくるには、消石灰になるまでの工程、
つまり焼き上げまでが重要だという。
焼成するための釜は土中釜で、『塩釜』と呼ばれている。
昔から受け継がれてきた製法で、燃料はコークスを使用し、
塩を加えることからこの名前が付けられた。

実際、釜の脇には原塩の大袋がいくつも並んでいる。
「舐めてみますか?」の声に、少し手に取って舐めてみた。
それは正真正銘、しょっぱい塩だった。

焼成になぜ塩を加えるのか?
その効果は、
1. 漆喰本来の白さが出る
2. 石灰が粗大な球状結晶になり連結し、多孔質になる
3. 嵩比重が小さくなることで混水量は少なくて済む
4. 作業性が良くなる
と言われている。

塩釜のもう一つのポイントは、職人の手作業で焼き上げられる、ということだ。
材料投入は朝と夕方の2回。
職人さんは、季節やその日の天気によって変化する釜と石灰岩の“体調”を考えながら、
材料の投入量やタイミング、 温度加減、焼成時間、塩加減などを決める。
機械的な作業では及ばない、 “塩梅”があるという。

それはほとんど勘と言っていいかもしれない。
実際、手作業モノと機械作業モノの漆喰を左官職人が使い比べてみると、
保水性や作業性の違いが一目瞭然だそうだ。

最近ではコークスを重油に、手作業を機械作業に切り替えるところも多いようだが、
すべてが手作業で進められる左官仕事に適した漆喰をつくるには、
先人の知恵で培われてきた手作業の工程が欠かせないのだ。

 
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