  各業界コラム
工務店コラム
005 IF”(もしも)の発想
|
|
私が好きな漫画家に手塚治虫さんがいます。
鉄腕アトムをはじめ数多くの作品を世に遺されたみなさまもよくご存知の方です。
手塚治虫さんが書かれた「ガラスの地球を救え」という本の中に「IFの発想」がありました。
それは、〔もし〜だったら〕という発想で、
未来指向・未来予測の漫画を数多く描いてきた、というものです。
一見これはむずかしそうで誰にでも出来ることではないと思われそうですが、
「もし雨が降ってきたら、帰りはどうしようか」と心配することが未来の想像、
つまり無意識に未来の予測をしていることになるというのです。
「未来といったって、なにも21世紀のことだけではありません。
1年先だって未来ですし、極端に言えば1時間後でも未来です。(中略)
ぼくはこういう予測をすこし先へ伸ばして考えているだけであって、
1年先も2、30年先の予測も発想は同じなわけです」
彼は、地球の危機という現実を前にして、
たとえ未来予測がたいへん暗い不安なものであったとしても、
それだからこそいま、それに向かって暗く不安な材料を取り除くように心掛ければいいのだから、
「IFの発想」はどんな人にも生きがいに通じるはずだ、と言ってます。
忙しすぎる大人と子供たち――
私は5年ほど前に、息子が通っていた小学校でPTAの役員をしていた時、
小学校児童生活アンケートを行いました。
その結果は次のようなものでした。
「もしも、もっと時間があれば何をしたいですか」との「IF」の問いに対し、
59%の子供が「遊びたい」と答え、21%の子供が「趣味をしたい」と答えています。
「のんびりしたい」「ねたい」と疲れを訴えている子供が6%います。
あわせて86%の子供が不本意な時間を過ごしていました。
これは何を物語っているのでしょうか。
受験至上主義 ――
人よりも良い学校に入り、良いところに就職し、良い生活を送れるようにする。
その準備が幼児から始まっていることの表れではないでしょうか。

無駄や遠回り、道草といった「のんびり」を許さない今の社会では、
どのように考えても先に豊かさは見えてきません。
今の日本をとりまく合理主義や生産至上主義では、
みずみずしい感性や独創性をもった子供たちが育っていくはずがないから、
結局はその社会を疲弊させてしまうでしょう。
近年、少年犯罪の増加と凶悪化が報道されていますが、その影響ではないかと思っています。
私の家内は――名だけのわが社の非常勤取締役ですが――1年ほど前から小学校で昼休みを利用して、
ボランティアで月2回、30分ほど児童に絵本の読み聞かせを行っています。
当初2人だったメンバーは10人余りに増え、
全校生徒は二百人余ですが多い時百数十人が参加して、じっと聞き入っているそうです。
絵本は疲れた心に染み入る「水」なのでしょうか。
私たち「すまい」に携わるものとしては、社会の疲弊は直接、受注に響きます。
〈生活がくるしいから、とても家にお金をかけられない〉ので、
豊な社会実現のために努力することが求められています。
未来の大人である子どもたちの、明るい笑顔を取り戻さなくてはなりません。
手塚治虫さんは問います。
「もしも、あなたの命があと1年なら――」
いったいあなたは何をするでしょうか。
「もしも、あなたの子どもの命があと1年なら――」
いったいあなたは子どもに何をさせてやりたいでしょうか。
|
|
石山 孝史(いしやま たかし) |
石山テクノ建設株式会社 |
〒604-8411 京都市中京区聚楽廻南町1番地
TEL.075-822-4377 FAX.075-803-0417
URL http://www.ishiyama-techno.co.jp
[略歴]
1951年 京都生まれ
コンクリート構造物の補修・補強を得意とする大手建設会社に二十数年勤務。
こだわり精神を発揮し、1997年に石山テクノ建設株式会社を設立。
先端技術の提案営業と念入り施工で、
5年で会社規模(売上・粗利益・社員数)が設立時の3倍となる。
|
|
|
|