輪島の木地屋三代目・桐本泰一さんを紹介する本が
このたび、出版社
ラトルズより発行されました。
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普段の暮らしのなかで、
ごく普通にうるし塗りのものを使ってもらいたいという桐本さんの思いが
1冊の本になったのです。
本の編集を担当した私は、それまでうるしのことをよく知りませんでした。
でも、桐本さんから話を聞いたり、うるし関連の記事に目を通すうち、
すこーしずつ、うるしのことがわかってきた。
うるしの特性がみえてきました。
その昔、うるしは接着剤として使われていたこと。
うるしは、木を保護する目的で塗られていること。
うるしには、適度な水分補給が必要なこと。
そして輪島では、うるしは今でも建材の塗料として、
深く親しまれているということ。
輪島でつくっている現場を訪ねたり(
2003年10月の中継『漆』)、
実際に漆器を使って、何度も使い心地を試しました。
そして、こう思いました。
「これまで、ずいぶん偏った目でうるしのことを見ていたんだなあ」と。
うるし塗りのものは、気軽に使いたい生活道具のひとつ。
気がつくと、そう思えるまでになっていました。
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きりもと たいいち |
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輪島キリモト・桐本木工所 |
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木と漆の創作、商品企画、総合プロデュース、伝道 |
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住所: 石川県輪島市杉平町成坪32 |
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TEL: 0768-22-0842 FAX:
0768-22-5842 |
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URL |
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1962年 石川県輪島市に生まれる
1985年 筑波大学芸術専門群生産デザインコース卒業後、コクヨ(株)意匠設計部入社。
1987年 輪島朴木地工芸 桐本木工所入社、朴木地(ほうきじ) 職見習いを経て、
1987年 木地屋からの創作漆器デザイン提案や、木地屋が想う漆の創作をはじめ、
1987年 現在も継続して活動中。
2000年 輪島市河井町わいちにて、地元の木地師、 塗師、蒔絵師たちと
1987年 「ギャラリーわいち」を開店。ここを拠点に同年代の職人さん達と一緒に
1987年 創作活動、商品企画、デザインも行うなど漆器のプロデュースを行っている。
2002年 筑波大学総合講座非常勤講師 |
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今回の9スタは、我が家の「いつものうるし」風景をお届けします。
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あたたかい日が続くこの季節は、庭の草花も生き生き。
三つ葉やフキ、山椒の葉。
お吸い物に、煮物に、ちょっとだけいただき!
手軽なのが、うるしーですね。 |
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我が家の朝食は、ごはんと味噌汁が定番。
だから、うるしの汁椀はほとんど毎日使っています。 |
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毎日使うから、毎日洗う。
使うことは、結果的に水分補給につながります。
うるし塗りのものをずーっと使わないでいると、乾燥しすぎで割れたり、
そったりするのだそう。
だから、使うことがメンテナンスにもなる。
なるほどなぁと思います。
猪口は、お酒を飲むうつわとしてだけでなく、
切り干し大根を煮たのとか、マグロの山かけとか
向付を入れるうつわとして使うこともしばしば。
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飲み屋さんの使い方を真似て、
いくらと水菜の和え物を、品よく盛りつけてみたり。
うるしって、本当に料理を引き立ててくれるから、うるしー。
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鍋料理の時には、切り分けた豆腐を
片口に盛って使います。
こうすると、
きゅっとすぼめた口から水切りができて便利。
猪口も片口も、
一般に知られる使い方というのがあるけれど、
それを知ったうえでの使いくずしも、あっていいと思う。
既成概念にとらわれないで、
いろいろな場面で使ってみたい。 |
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娘も私も大好きな、大ぶりなブリのカマは、
蒔地技法を使った大皿に、どんっとのせます。
このお皿は、桐本さんが漆器でカレーライスを
食べたいという思いから生まれたもの。
金属のスプーンがあたっても傷つきにくい仕上げに
なっているから、本当に気楽に使える。
頼りがいのあるうつわのひとつです。
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板皿には、糠づけを。
木目が生かされた拭きうるしの皿は、
飾り気のない普段の料理がよく似合います。 |
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さーて、ごはんはおいしく炊けたかな。
ではでは、ちょっと失礼して、
「いただきまーす♪」。
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「ん? 何だか、いつもよりうるしのお皿がいっぱい」
「ま、今日は紹介もかねているので、ね」 |
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口あたりがやさしい塗りものの椀は、
手で持った時、唇を縁につけた時に、ほーっとします。
普段、うちではご飯茶碗とおかずを入れるお皿は陶器、
冷たい飲み物は、ガラスのものを使うことが多い。
塗りものだけでなく、いろんな素材をバランスよく使うと、
食卓が楽しくなります。
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脂ののったブリカマも、あっという間にお腹の中へ。
ふー。食べた食べたー。
あ、そうだ。花粉症対策のヨーグルトを食べなくては! |
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「はい、どうぞ」
まったりとしたヨーグルトの白と、うるしの黒。
いい感じです。 |
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「ごちそうさま」
「じゃ、洗って下さいな」
「へーい」
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「塗りものも、陶磁器と同じように洗って大丈夫です」。
そう桐本さんから聞いた時には、気がぬけた感じでした。
なーんだ、普通でいいんだって。
実家では、正月にしか見たことがなかった漆器は、
雑煮を食べた直後、盆にのせられ、さっさと姿を消しました。
私は洗い物さえ、任せてはもらえなかったのです。
だから、桐本さんに会うまでずーっと、
うるしって扱いが難しいんだと思ってた。
でも、実際はそんなことないんですね。 |
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こんなふうに普通に洗って、布巾でふいて、それで終わり。
漆器だけまとめて重ねて、棚にしまいます。
そして、また使う。いつものように。 |
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ゴールデンウィーク中に、
新宿のリビングデザインセンターozoneで開催された
「暮らし うれしい モノ マーケット」では、桐本さんも出店していました。
あ、いたいた。
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もちろん、桐本さん本人も目立ちますが、
デザインされた塗りものがずらり並んでいる様子は、
圧巻です。 |
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大治夫妻の愛息・相思くんは、
「いつものうるし」の表紙モデル。
本文中でも、スプーンを歯がため代わりにしていたり、
拭きうるしの床でハイハイする姿が、紹介されています。
その節はどうもお世話になりました。
それにしても、ずいぶん大きくなったね! |
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棚には、増田多未さんデザイン、桐本さん製造監修の
スプーンも初お目見え。
柄がきゅーっと曲がっているから、
大人が手にしても持ちやすい。
赤ちゃんも握りやすい。
うるし塗りのものは大人だけでなく、
感覚器官が働く赤ちゃんにも、ぜひ使ってもらいたい。
そう思います。 |
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障子のミニチュアや、手漉き和紙を使った明かり、
それから、9スタ取材の時に話が出た
一筆せんが並びます。 |
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「そうだ。ちょうど桐本さんも来てるし、
一緒にごはん食べに行こう行こう!」 |
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そして、百人町へくり出した私たち。
「おつかれさーん」 |
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美濃の手漉き和紙と、輪島のうるし。
異業種の交流は、お互いのしごとを知ることから
はじまります。 |
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お。さっそく、桐本さんデザインの
蒔地仕上げの名刺入れが出てきましたよ。 |
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プロダクトデザイナーの山崎 宏さんも加わって、
一体、何の話?
何がはじまるんですかーい? |
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私と桐本さんの出逢いは、3年前に行われたOZONEの初個展でした。
そして今、時を経て、
ふたたび同じ場所で、新たな出逢いが生まれました。
百人町で話していたことが、形あるものになるのかどうか、
密やかな期待をもっておりまするー。