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初めて、義弟一家が遊びに来た時のことである。
「ホントに、ほんと〜に、テレビがないんすか?」
義弟は真面目な顔で、私に尋ねた。
「ない。壊れちゃったから」
あっさり答えると、彼は口をあんぐり開けたまま、何度も頭を横に振った。
まさに、「アンビリーバボー!」の表情である。
実家の父は言う。
「アンタだって、子どもの頃はテレビにかじりついてたくせに。
『ジャングル大帝』だの『全員集合』だの『タケちゃんマン』だのって。
孫たちだって、学校でみんなの話題についていけないだろ?
見たい盛りだろうに、かわいそうじゃないか...」
確かに、娘たちには見たい番組があるらしい。
ただ、それは『たまに』であり、『毎日』というわけではない。
考えてみると、これまで「テレビ、買ってよー」とせがまれたことはなかった。
「早く犬を飼おうよー」とか「自分の部屋がほしいよー」とは言いますけどね。
どうしても見逃せない番組がある時は、さっさと実家に電話をかけ、
「あした、泊まりに行っていい?」
なんて猫なで声を出してるんだから、まったくしたたか者である。
今時は、家にテレビがなくても、手近に楽しめるモノが他にいくらでもあるし、
パソコンがあれば、様々な情報を即座に得ることもできる。
テレビがなければないなりに、絵を描いたり、じっくり本を読んだり、
あるいは歌に合わせて踊ったり、空想に耽ったりして、
何かしら行動をおこして過ごすものなのだ。
「いったん家からテレビをなくして、不便を感じた時に買い直そう」
と言っていたのに、あれから既に4年。未だに、テレビのない生活が続いている。
どうやら、私たち家族にとってのテレビは、ウチではなく、
もはやソトでの楽しみのひとつになったようである。
一方、家庭内テレビ派の義弟一家は新しく家を建てることになり、
今からどんな家にしようかと、楽しげに話し合っている。
家づくり経験者の私は、すかさずアドバイスしたのだった。
「そんなもん、居間は巨大スクリーン付きに決まってるじゃない。
『大勢でテレビを囲む家』にしなきゃ!」
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