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『家づくりの会 連載コラム』
018 家は生きていくための道具のひとつ その2
小谷野栄次/結(ゆい)設計事務所
−存在感がありすぎても暮らしにくい−
非合理的、非能率的でも、家づくりはホンモノにこだわりたいものです。
東京杉並区のHさんの家づくりを通して、設計者として考えさせられるところがありました。
Hさんのお宅では、娘さんがアトピーと喘息、奥様は毎年花粉症に悩まされているということから、
床は無垢のナラフローリング、内外の壁には調湿作用が高く脱臭効果もある土、
天井には無垢の杉板、子供室の壁紙には低公害のエコクロス、和室の床下部分には調湿炭を敷き、
構造材には薬剤処理していない木材を用い、防蟻処理には安全性の高いヒバ油を使う、
など徹底的にこだわった自然素材住宅を造りました。
そのとき木についても徹底的に調べて分かったのですが、
「自然素材」として市場に流通している検査済み等級の判の付いた木は
すべて化学薬品による防虫処理、防腐処理、防カビ処理のいずれかはしてありました。
本当の意味での自然素材にこだわるなら、産直で木を仕入れ、
化学処理のしていない等級外のものを使うことになります。
「木造住宅」という言葉もしかり。
最近は本物の木ではなくて、強力なボンドで木を張り合わせて加工した集成材を使っていても、
「木造住宅」と称しています。
集成材は狂いがなく、流れ作業がやりやすく、今や流通市場の要にもなりつつありますが、
加工に手間が掛かり、本物の木よりも値段が高かったりするのです。
木は、多少節があっても適材適所で使っていけばいいと思っています。今の時代には、
非合理性と知っていても、やはり自然のものは自然の道理に適ったように使いたいものです。
家を持つということの社会性についても、是非次のことを念頭に置いておいて欲しいと思います。
家という空間は、住む人たちのものであると同時に、外に対しても提供している空間なのです。
家は、建っている街並みに溶け込むことも大切です。
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