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『家づくりの会 連載コラム』
018 家は生きていくための道具のひとつ その1
小谷野栄次/結(ゆい)設計事務所
−存在感がありすぎても暮らしにくい−
家の原点は、柱と屋根があって雨風がしのげること。
厳しいことを言うようですが、
今の建物の欠点は、つくり過ぎ、いじり過ぎ、機械に頼り過ぎ
、だと感じています。
家づくりは庶民の憧れであり、その夢を叶えるお手伝いが設計の仕事ではあるけれど、
建主が憧れだけで家づくりをするのは、とても危険なことだと思います。
設計する立場から住み良い家の提案をしてみたいと思います。
家は人が生活していくための道具。
ですから本来、人に見せて誇るものではありません。
一番使いやすい、住み良い家というのは、住んで生活する人の身の丈に合った等身大の家です。
何でも、ほどほどがいいのです。
無理な設備投資をしないで、電気仕掛けを少なくして、ライフスタイルの変化に合わせ
必要なものを必要に応じて付け足していける家が、本当の意味でのいい家であり、
住む人の健康にもいいはずです。
新幹線に乗る快適利便さを選ぶか、
SLに(今どき乗る機会も場所も限られていますが、ものの例えで)乗る
ゆとりある気持ち良さを選ぶか、あなたならどちらを選びますか。
最新のハイテク機器を搭載し、ハイスピードで音は静かで
空調もバッチリの新幹線に乗るスマートな快適さ。
一方、ベーシックな機器の鈍行にゆっくりゴトゴト揺られ、
暑さ寒さもダイレクトに感じるナチュラルな気持ち良さ。
どちらもそれぞれに種類の違う気持ち良さがありますが、その「質」が違います。
建築家としてそれを家づくりに置き換えた時、私は後者のSLの方に軍配を上げたいです。
住宅建築の場合、高断熱高気密で夏は涼しく冬は暖かい建物は確かに快適です。
しかし、部屋の中を涼しくし過ぎて冷房病になったり、冬に部屋を暖め過ぎて外の冷気に当たったら
一発で風邪をひく、なんていうのは、人工的な調整をし過ぎる故の弊害。
健康を求めながら不健康な住宅にしている訳です。
シックハウス(室内汚染)対策にしてもバリアフリーにしても、公共施設など不特定多数の人が利用する
建物の場合には必要不可欠ですが、一般住宅の場合には必要な人が必要に応じて取り入れればいい訳で、
すべての人にそれが必要という訳ではないはずです。
(つづく)
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