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『家づくりの会 連載コラム』
016 「光」の魅力 その1
熊坂寛/Ks Work 一級建築士事務所
「光」は、何気ない風景を時として美しく魅力的に変えてしまう、そんな力を持っています。
夕焼けの燃え立つ朱色に染め上げられた空、朝靄に包まれた静かで柔らかな白い空間、
木々の葉の間から漏れる光と陰の重なりの美しさ、夕立の後の雲間からさす一筋の光、
一面の銀世界に舞うスターダストのきらめき、冬の縁側にぬくもりを与える日だまり……、
そんな様々な表情を見せてくれる「光」の不思議な魅力が、私はとても好きです。
日本人は、昔からこの「光」を生活のなかに上手に組み入れてきました。
障子は「光」を柔らかくしなやかにし、時として外の風景を映し込み、
季節感などを生活に取り込んでいます。
面格子は通風、目隠しの機能と同時にその隙間からさす
「光」の変化がとても美しくデザインされています。
夏、窓に掛ける簾や葦簀のつくる光と陰も日本の夏には欠かせないものです。
開口部により風景を切り取る借景の手法も、
風景と同時に光を効果的に内部に取り込でいると思います。
私はそんな「光」の楽しみ方をもう一度見直して、現代の生活や感覚に合った「光」の使い方、
単なる明かり取りの機能ではなく「光」を効果的に取
り込み、
(たとえば家族の集まる場所は大きな窓によって光と共に外部の自然を取り込み、
大きな壁にあけられた細いスリット状の開口は「光」を時経過と共に形状を変える印象的な帯状の「光」に変え、
長い廊下の端にあけられた窓はピクチャーウィンドーとなり、
吹き抜けの上部に設けた大きさを押さえたトップライトは印象的な光を様々な場所に落とします……。)
生活にちょっとした豊かさを与える「光」を大切に考えていきたい
と思っています。
「光」はまた、開口部に使用する素材によって表情を様々に変えます。
ガラス(透明ガラスから磨りガラス、型ガラス、波板ガラス等々)、障子、面格子、
ガラスブロック、穴あきブロック、パンチングメタル、カーテン、ブラインド、ロールスクリーン、簾や葦簀、
これらの素材の特徴が光にさらにいろいろな表情を与えます。
「光」を効果的に取り込むには素材の選定も重要になります。
そして家づくり全てに共通する事ですが、「光」について考える時にも、
家族構成・ものの考え方・ものの好み・その他の設計条件や要求を考慮し、
その生活に合った「光」を取り込む事が大切になります。
(つづく)
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