  建築家のコラム
『家づくりの会 連載コラム』
011 三軒の友人の家「今と昔」 その1
―20年前に買った家と、15年前、8年前に設計した家―
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笠原顕司/笠原顕司建築創作所 |
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友人の家というのはとかく気になるもの。
今回は三軒の友人の家を例に出して、当時の様子と現在の様子を比較してみることにしたいと思います。
資金をどう調達したかも興味があるところで、例えば若い世代では、親との共同出資、
50代から60代なら、ズバリ、会社の退職金が目当てでしょ うか。
さらに、70代以上では、老齢でもはや家財を守るのは難しいから、家を貸し、
それを資金に便利なマンション移住を考える。
介護の手があれば家族一緒に住むこともできますが、核家族化した現在では、これはなかなか難しい。
便利な介護付きマンションに人気があるのも、そんな理由からでしょうか。
ともあれ、家という財産をいつまでも大事に、そしていとおしんで住みたいものです。
さて、何年か前に友人達が建てた家の現在の風景は、どうなっているのでしょう。
時の経過とともにどのように変化したのでしょうか。
気になる家をちょっと覗いてみました。
私の友人のT氏が家を建てた(買った)のは、今から22年くらい前です。
彼は30そこそこの若さで家を手に入れたので、まわりの家主(殆ど50代、60代)からは、
驚異の目で見られたようです。
次男坊の彼は貧しい実家の親の援助は受けず、夫婦で懸命に働いたのです。
当時は残業をすればするだけ収入が増え、商社勤めの彼はいつも帰宅するのは夜12時を回っていました。
彼の奥さんは病院の看護師(当時は看護婦)で、3交代制の不規則な勤務に良く耐え、
体を酷使して仕事一途に頑張っていました。
6畳一間のアパートで夫婦すれ違いのような生活でしたが、
10年近く節約したおかげで、なんとか家を購入するだけの資金の半分程度が貯まったのでした。
そこで彼は東京の郊外に、土地付きのプレファブの建て売り住宅を見つけ、早速買ったのです。
T氏は私に相談することもなく、彼からの転居の知らせに驚きましたが、
それを頼りに一度T氏の家を訪れてみました。
天井が低く、小さく間仕切られた部屋が幾つかありました。
誇らしげなT氏の案内で複雑な気持ちでしたが、木の味わいが無いという印象を持ちました。
それ以来、20年の歳月が流れました。
当時幼児だった二人の子供達は成長し、今は社会人として活躍しています。
二人ともアパート暮らしだとか。
久しぶりにT氏に家のことについて聞いてみると、子供が家に入って世帯を持とうと思っても、
増築出来ないので困っているとのことで、在来工法の家にしておけば良かったと言っています。
どうにかならないものか、という相談もありましたが、こればかりはどうにもなりません。
更にまたT氏はこの家に何故か愛着がわかないらしく、
出来れば大工さんが手作りで造った家に移りたい、というようなことまで言うので、これには閉口しました。
(つづく)
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