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 『家づくりの会 連載コラム』


 010 匠の技から学ぶ ―建築家の職能を改めて考える― その1

小川任信/小川任信建築設計事務所

日曜日の夜8時からテレビ朝日で放映している「大改造!劇的ビフォーアフター」という番組を
見たことがありますか?
今、大ブレイクしている番組です。
「なんとかなるんかいな?」と思わせる古いくたびれ果てたような建物を前に、「○○○の匠」なる建築家が登場、
スタジオではゲスト達を交えて難問のクイズを解く楽しみのように改造方法を語り合う。
うまく当たるときもあるが、あれっ?と思うような解決方法に、
テレビを見ている私たちも含めて感動し、最後は依頼者も感動の涙、涙。
快刀乱麻の業で見事なまでに解決していく「フェ〜!」という夢のような番組です。

現代の社会状況、例えば地価の下落、高齢化、環境意識の高まり等を背景にして、
劇的に変化するリフォームという媒体を通して皆に感動を与える。
こうした番組の是非はともかく、家づくりの先陣に立つ私たちにとっても、目からウロコ、です。
「○○○の匠」という表現は少々面はゆいのですが、
それを除けば、普段私たちが設計という仕事を通じてやっている事そのものです。
こんな形で社会現象になって、「そうなんだよ」「その通り!」と
今一番感動しているのが建築家たちなのではないでしょうか。

けれども、ただ一つ違うことがあります。
それは、匠が小気味よいまでに壁を壊したりタイルを剥がしたり、さらには家具を造ったりしますが、
一般的には建築家は物を造ってはいるのですが、指示書(図面等)によって造るのであって、
自ら手を出すことは少ないはずです。
番組の構成上なのか、「匠とはこういうもの」という形を見せられて、視聴者は「こんな風なのもいいね!」と
グッと感動してしまうようですが‥‥。

とはいえ、時代の申し子としての「匠」は、建築家の職能を少し高めてくれた大スターなのかも知れません。
特に、想い出の品を利用して建物の一部に組み込む場面が必ずといっていいほどあるのですが、
今までの商品化規格型住宅では絶対あり得なかったことです。
想い出を組み込むストーリーづくりは、「リフォームの中にこんな感動がある」と思わせる
切札のようなものです。
そして、身近な建築家が本当に必要なのだという解答が、一番分かりやすい形でこの番組の中にあります。
いろんな匠たちが出演するのを見ては、世の中に実力のある人がたくさん居ると思うとすごく安心します。
願わくば長寿番組になってくれますように‥‥。

つづく


 
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