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 『家づくりの会 連載コラム』


 006 大学時代に出会ったアールトの建築から考えること その2

本間至/ブライシュティフト

今さら私がセイナッツァロの役場について講釈したところで、全てが言い尽くされてしまっているのだが、
私が特に好きな所について幾つか挙げてみることにした。

1. コの字に配置されたオフィス棟と道路に面した図書館が、一層上がった中庭と2つのエントランス階段で
分節され、外の強い自然に対して非常にヒューマンな内なる世界を作りだしているところ。
2. 中庭に面した明るいオフィスの廊下に対して、議場への階段と通路は、細く水平に切り取られた高窓から
限られた量の光だけを取り入れ空間の機能文節を光のコントラストによって美しく表現しているところ。
3. この建築を構成している材料は、煉瓦、石、木と、とてもシンプルな素材であるにもかかわらず、
それらの出会い、組み合わせ方のディテールが非常に理論的に構成されている。

建築的な言い方になってしまうが、機能、光、素材、これらの要素が空間として構成される時、
文節という論理的な思考が、全体からディテールの隅々まで行き届き、
そのことによって情感に訴える美しさを作りだしているのが、アールトの建築なのかもしれない。

このような名作を前にして、我々が日常設計している住宅について考えたとき、
その住宅を建築たらしめることができるかどうか、実はとても大切なファクターであることが解ってくる。
建主の希望を満足すると共に、建築として、その部分に肉迫できたとき、
それはどんな形であれ、人の情感に訴える何か輝くものを持った住宅になり得るのだろう。

建築家に、設計を依頼するということは、実はそこの部分に期待を持つことが大切であり、
そこの所を置き去りにして、ただただ、希望満載を実現した家を望むのであれば、
ハウスメーカーに家を建ててもらうのと、何ら変わりはないように思えてならない。
それこそ、設計料の無駄というものではないであろうか。

この設計料を無駄にしないためにも、建築家の今まで設計した住宅と、
その設計姿勢に何かの形で共感し、その部分も建築家を選択する重要なファクターとして考えていけば、
必ず、住む人にとって愛着の持てる、家になるように思えるのだが‥‥。


 
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