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 だまってられない!『辛口e時評』

 052 きわどい建築 その2・・・建築学会賞の功罪


[筆者・降圧剤 今回の血圧]↑↑降圧剤↑↑=激怒 ↑降圧剤↑=怒 ↑降圧剤↓=平常心 ↓降圧剤↓=リラックス

前回の続き。

98年に日本建築学会賞に選ばれた作品は4つありますが、
記事にとり上げられているのは、岐阜県大垣市の国際情報科学芸術アカデミーの
「マルチメディア工房」(設計者:SANAA妹島和世+西沢立衛)と、
熊本県泉村の「ふれあいセンターいずみ」(設計者:武田光史建築デザイン事務所+ロゴス設計同人)です。
漏水とそれによる劣化が指摘されていて、前者は施工者、後者は建築主(村)が修復費用の負担をした
というものです。

審査員をつとめた10人のうち7人のコメントがのっています。
「マルチメディア工房」への授賞には、水の対策不足を指摘して反対したという大阪大学名誉教授の
岡田光正さん、推さなかったという東京大学名誉教授の香山壽夫さんらのコメントのなかで、
「新人の発掘が学会賞の使命」として積極的に支持したという建築家の伊東豊雄さんは
「問題が起きることは予測できなっかった」
「問題が起きたときの、クライアントへの対応こそが重要」としながらも、
「斬新で明解なプランニングを評価した」
「妹島さんはここで切り開いた手法をその後展開させて、世界的に評価された。いまでも賞に値する」
「新しい挑戦にリスクはつきもの」
などとのべています。
岡田さんは
「学会賞は、竣工して3年程度経過したものを授賞の条件にしてはどうか」
と提案していますが、なぜか伊東さんは
「竣工後の早い段階で審査するのが望ましい」
と、正反対の立場です。

2つの作品はプランもデザインも極めて魅力的な建築です。
伊東さんのいう「新人発掘が学会賞の使命」はそのとおりです。
しかし、設計監理不備のあと始末を建築主や施工者に押し付けるのでは、
医療過誤をおこした医師が、「先端医療を施したのだから、我慢しろ」と強弁するのとなんら変わりがないでしょう。
建築家職能への社会の理解はとうてい得られません。
これでは新人を『発掘』はしても、社会に『受け入れ』てもらえなくなります。
あとに続く若い建築家達の道を閉ざすことにもなりかねません。

デザインは技術で裏付けされるべきです。
そうでなければ、それは建築ではなくアートです。
日頃から、妹島さんや伊東さんの優れた創造性に共鳴し共感しているだけに、残念でなりません。

(2003.07.01)


 
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