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 だまってられない!『辛口e時評』

 040 この国の“経験主義”・・・若い才能が芽をふきにくい


[筆者・降圧剤 今回の血圧]↑↑降圧剤↑↑=激怒 ↑降圧剤↑=怒 ↑降圧剤↓=平常心 ↓降圧剤↓=リラックス

建築家を選ぶときに、類似建築の設計経験を問う人がいます。
例えば、二世帯住宅を設計したことがあるか、医院併用住宅をやったことがあるか、というようなものです。
まるで、“ことなかれ”役所の入札参加資格のようです。

誰だって最初は初めての設計です。安藤忠雄さんだってそうでした。
でも、経験の有無を問うクライアントばかりに出会っていたら、
彼の才能が芽をふく機会はなかったかもしれません。
黒川紀章さんが、若い頃の悔しい思いを語っているのを聞いたこともあります。
同じタイプの建築の設計経験が豊富ならば良い設計ができるという保証はありません。
経験が多くてマンネリに陥ることもあります。
初めて経験する建築でも、応用をきかせ、研究しながらこなすのがプロというもの。
建築のプロに建築の設計を頼むのです。作曲をさせるわけではないのです。

“経験主義”の蔓延は結局、歪んだ専門性をつくりだし、新しい若い才能が世に出にくい状況ができるだけです。
そして、世に出るために、無理なデザインをしジャーナリズムに取り上げられて名前を売り、
その裏では欠陥トラブルを生むという結果にもつながるのです。
設計という創造の世界には馴染まないあさはかな手法なのです。

このような無意味な方法をとるよりも、確かな能力のある建築家を選べばよいのです。
建築設計は、才能だけではできない仕事ですから、あんまり若いと技術力が不十分なこともあります。
とはいえ30歳を過ぎた一人前の建築家が、能力を持ちながらこのような障壁に妨げられて
世に出にでられないのは、まったくおかしなことです。

設計した住宅の数で建築家を評価することも同じです。
年間の住宅設計数を問うやりかたです。
年に2、3棟を設計する人よりも、数十棟設計する人のほうを評価するのです。
1人の建築家がきちんと設計監理をすれば年間3、4棟しかできません。
数多くこなしているなら、それはスタッフまかせか、あるいは施工者まかせにしているかもしれないのです。

それでも、経験や棟数を問うのですか?

(2002.12.02)


 
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