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 『建築家と家を建てることについての10章』 written by 中原洋

 08 お忘れ無く。 家は、建ててから 手間とお金がかかります


家を新築する人が忘れている大切なことがあるような気がします。

じつを言えば、ぼくも家を建ててから痛い思いをして学びました。
家がどれほど手間とお金を要求するのか。
公団住宅に長く住んでいたから想像もしなかったことです。

念願の家に引越しして、しばらくして雨漏りが始まりました。水漏れもありました。
大工さんが悪いわけではありません。運が悪かったのでしょう。
そのうち設備の老朽化も始まりました。

家というのは、もの凄い金喰い虫です。
それでもお金を掛けている分、家はしっかりしていて快適です。
あと数年したら、老後のための最後の改装と修理をするつもりです。
家は50年を越えて住めれば元を取ったと言えるかなと考えるようになりました。

幸いなことに仲のいい大工さんがいます。重大なことがおきそうだと、すぐに来てくれます。
かれはわが家の鍵をもっていて勝手に修理もしてくれます。
そして「この家は一生面倒をみるよ」と言ってくれています。
建てたわけでもない彼の友情にすがっているわけですが。

とにもかくにも家というのは放っておくと簡単に腐ったり雨漏りしたりするものなんですね。
「家」はすばらしいものですけれど、手入れは怠けられない。
建ったら終わりではなくて始まり。
日本の家の建て替えは平均が26年とか。
一生に2度の家はぼくには不可能です。
だからお金も手間もかかるけれど、家を大事にしています。


 
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