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 『建築家と家を建てることについての10章』 written by 中原洋

 05 試しに住宅の三分の一を収納に


ある外国人の建築家が「日本の家は変だ、」と言ったと聞きました。
「せっかく建築家が美しく設計したというので見に行くと、写真とはまったくちがう」と。 
空間が見えなくて物だらけということでしょうか。

日本人は物を持ちすぎるからだという人がいました。
でも、そのアメリカの古い家に行くと、数世代にもわたる記憶の品々が蓄えられています。
地下室や屋根裏に。 
昔は日本にも蔵や納戸があって、さまざまな物がしまわれていました。
きれいに住まうことが伝統でした。

さて、そこで今の家を見てください。
キレイに住む気がないというのは別にして、まず絶対的に収納が少なすぎます。
図面を見ると、立派な家風なのに極端に収納のスペースの小さい家。
きれいに暮らせるわけはないと老婆心ながら思うのです。仕舞う場所がないのだから。

収納があってはじめて家はキレイに暮らせる。

そこで、わたしの提案は家の全スペースの三分の一を収納に当てるという案です。

じつはわが家は3階建てで半地下の1フロアーのすべてが収納です。
住むところも狭いのに、とい声が聞こえるようです。 もちろん、収納に対するアイデアは必要です。
一つのおすすめはまずはっきり収納専用の空間を用意すること。
二つ目は収納専用のスペースを他の機能空間と組み合わせること。
お客さんの目に触れない空間と。
たとえば家族が通り抜けるだけの空間、 廊下を収納場と組み合わせる。
三つ目は道具を使う。たとえば本棚。移動式のレールに乗る本棚です。
ビジネス用ならサイズがいろいろあって洋服ダンスにもなる、すぐれものです。

ただし、仕舞う場所があるからそこへ物を押し込むというのは賛成しません。
収納の場にはいつもゆとりがないと収納場所になりません。
これが鉄則です。
本棚がそうです。いっぱいに本の詰まった本棚は、新しく買った本を分類、整理できない。
整理してない本は存在しないと同じというのはよく経験なさっていることでしょう。

とにかく100平方メートルの家にはトータルで30平方メートルの収納を。
ぼくの提案です。
その代わり寝るところは狭くてもいい、あるいは狭い方がいい。


 
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