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 『建築家と家を建てることについての10章』 written by 中原洋

 02 ローコストをそろそろ考え直したい


長年、雑誌の取材記事を書いていて、使命感のように抱いていたのが
小さい住宅、ローコスト住宅への思いです。
でも、近頃、ローコストが正しいことかどうか、悩んでいます。

60年代、70年代の日本住宅は建ててもらえるだけでいいという時代。
それが建築的にすぐれているのならもう最高。
ところが最近、といってもバブル以降ですが事情は大分変わって来ていますね。
みなさん、ローコストといいながら万全の家を望んでいる。
もちろん雨漏りはしないに限る。夏涼しく、冬は暖かいのがいい。
でも、ローコストの家に起きるかも知れないトラブルを一切認めていない。
ま、それは置いておくとして、もう一つの側面。
ローコストは手入れにお金が掛かると言うことをみなさん忘れている。

家はお金が掛かります。とくにローコストほど。
昔は手入れをよくしていました。
出入りの大工さんが水回り、軒下の雨の当たるところ、 床下−−−時々は見てくれていました。
それだけのおつき合いが合った人の場合ですが。
アメリカにも湿気のきついニューイングランド地方にも、200年以前の木造住宅が
たくさん残されています。 開拓時代ですから、ほとんどが素人の手になる家です。
でも3年ごとに塗り替えるペイントの折に、トラブルを発見し、手を入れるので長く持っています。

日本人はローコストを望んで、手入れをしないで、わがまま言ってという風に近頃感じます。
もう一つ、家を家族資産、社会資産とみなしていない。
建て替え26年のデータを聞くと愕然としてしまいます。
100年保つ家を建てれば、 3世代新築のお金を使わなくていいのにと最近思うのです。

だから最近ローコストを言うことを止めたいと思っています。
環境問題を考えても、ものは長持するのが正しいのはないでしょうか。

友人が建築家に家の設計を依頼しました。
ご多分に漏れずローコストなのですが、50年保つ家を考えてあげてねとお願いしたら、
建築家は、断然設計変更に掛かったと聞きました。
施主と建築家の心意気を感じています。


 
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