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  建築家のコラム
『建築家と家を建てることについての10章』
written by 中原洋
01 建築家への発注法−僕の家の場合−
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もしかしたらこれは失敗話なのかもしれない。
なにしろぼくの家は、打ったコンクリ ートは汚い。雨漏りはする。寒い、暑い。
はじめに雑誌、本を読みあさりました。
建築家も友人に紹介され、まあ、この人なら と信じた建築家に設計を依頼しました。
でも、不安でした。ぼくの希望が伝わったか どうか。
で、決心してやったことは島地図作り。要望事項を思いつくままい小さなカ ードに書き連ねました。
大きな紙にびっしり120件くらい。細かいこと・・・たと えばキッチンの流し台の高さから、お風呂の形。
でも、ふとこんな事でいい家が建つ のかどうか心配になりました。
かといって雑誌の写真の切り抜きは持っていけませんでした。そんなの恥ずかしい。
写真の家がいいなら、それを作った建築家のところへ 行けばいいし、
それじゃあ、自分というものがないじゃないですかと言われそうで。
で、結局、最初の島地図にもどりました。小さな要望事項を懸命にまとめて。最後は大きなテーマへ。
なにもしないではおれなかったのです。
小項目をまとめて行くと、結論は
「掃除のしやすい家」「泥棒の入りにくい家」「パ ーティーのできる家」の三つでした。
掃除は嫌いだから。
泥棒はしょっちゅう家をあ けるから。
パーティーは、これで友だちを増やしたかったから。
家は希望通りにできました。
でも、いまだに考えています。
建築家はあのぼくの労作 「島地図」をちゃんと読んでくれていたのかどうか。
考えてみればあまりに当たり 前。いまだったらどんな風に注文するか考え直してみました。
きっと「家の中のパブ リック、裸のスペース、収納。すべて三分の一づつ」と言うと思います。
でも、我が 家をみると、すでにそうなっています。
だから何か特別なこと言う必要も無いのでは ないかとも思えるのです。
でも、世間には建築家に頼んで、うまくいかなかったケー スは山ほどあります。
結局、人の出会いなんでしょうか。生き方、暮らし方、美意識が問題なのでしょう か。
ちょっと抽象的すぎますが。そういうことなら建築家選びの段階で、すべては終わ っている
ということになってしまいます。ぼくは意味のないデータを並べただけなのか。
振り返ってぼくの家を眺めてみます。
たしかにコンクリートは汚くて、雨が漏って ・・・問題ありますが、ぼくらは幸せに暮らしています。
いまではこの家が美しい とまで思って住んでいるのです。
多分、家のことを考えている内に自分の住宅観を洗 い直されたんでしょうか。
建築依頼とは不思議な作業ですね。
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